■トコジラミ(南京虫)とは?
名前はシラミですが、分類学的にはカメムシの仲間。体は丸く扁平で、色は褐色。人やペットから吸血します。刺されると激しいかゆみを伴います。吸血後はその周辺の寝具や家具の隙間に潜みこみます。メスは1日に5〜6個の卵を産みます。卵は2週間もすると幼虫になり、1〜2ヶ月で成虫になります。また成虫は3〜4ヶ月は生きます。その間、幼虫も成虫も、メスもオスも吸血します。メスは生涯に200〜500個も産卵しますので、またたく間に増加してしまいます。吸血しなくても1年位は生きていることがあり、長く空室にしていた部屋でも被害が出ることもあります。近年、人・物の世界規模での交流、海外旅行、ビジネス出張の増加に伴い、トコジラミ(南京虫)の被害は世界規模で広がっています。また、戦後使われていたDDTなどの効果的な薬剤がなくなったことや、広く使用されているピレスロイド系殺虫剤に抵抗性を持ったトコジラミが増え、駆除が困難になったことも、被害拡大の原因です。
■トコジラミの形態、発育
トコジラミ(南京虫)の体長はメス成虫で5〜8mmで、オスはそれより少し小さめです。雌雄の区別は腹部末端部に丸みを帯びたものがメスで、少しとがったものがオスに多い。トコジラミの発育は、卵、幼虫、成虫の3段階があります。産み落とされた卵は平均室温30度で3日後に幼虫(1令)に孵化し、各令に進むために吸血します。5回脱皮して(各令で満腹に吸血をしなければ次の令に進めない)1〜4の各幼令期間は3日で、5令は5日。卵から幼虫までの累積日数は20日程度です。
■トコジラミ(南京虫)の被害とは?
就寝中に体に取り付き、3〜10分も吸血します。初めて刺された人はかゆくなりませんが、何回か刺されるうちに体内に抗体が形成され、かゆくなります。アレルギー反応ですから、すぐにかゆくなる人と1〜3日してかゆくなる人がいます。今の所、病気を媒介するという確たる証拠は発見されていませんが、刺された人は不眠症、神経障害、発熱などの症状になるとこがある。掻きすぎて皮膚が傷つき、細菌による二次感染で傷口が化膿することもあり、日常生活が大きく損なわれます。
■どんな所に生息しているのか?
トコジラミ(南京虫)の一番多いのは寝室です。ベット周辺をはじめ、あらゆる隙間に潜り込んでいます。ベットの頭の所にある板と壁の間、家具の隙間、引き出しの裏、電話機、TV、たんす類、衣装ケース、壁と床の隙間、カーテン、壁にかけた絵の裏など。また、和室ではふとんを入れる押し入れ、畳の縁・裏、床の間など。
■被害がどのように広がるのか?
トコジラミ(南京虫)は人が使用する色々なものに付着して潜り込み被害が拡大していきます。
拡大事例
・トコジラミの住み着いたベットに座った際、トコジラミが衣服に入り込み移動先にも広がった。
・トコジラミ(南京虫)のいるホテルの部屋にカバンを置いたところ、産卵されそのまま自宅に持ち帰った。
・ホテルでトコジラミ(南京虫)の付着したシーツをカートに入れたため、他のシーツに移り、他に広がった。
・アパート内の親しい友人の部屋へ行き来しているうちに被害が広がった。
■トコジラミ(南京虫)の駆除はなぜ難しいのか?
トコジラミ(南京虫)のメスは毎日5〜6個の乳白色の卵を産みますが、その大きさは1mm程度、肉眼での発見は極めて困難です。しかも、何処へ産み落とすかも分かりません。壁の裏、コンセント板の裏、壁の隙間などに産み落とされると発見できません。2週刊もすると孵化した幼虫が吸血を始めます。生まれた幼虫は1〜2mm程度でこれも発見が困難です。一旦生息が拡大すると駆除はそれだけ困難になります。
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